手が切れないカンナで土は削れない
挽いたあと乾燥させたら、カンナで裏側を削ってかたちを整えたり軽くする。
カンナは売っているが、つくることもできる。
鉄の薄い板をグラインダーで削り、ペンチで少しずつ折り曲げ、やする。
輪カンナは車のワイパーの中に入ってるものを曲げ、木の板に固定して銅線などでぐるぐる巻きにして仕上げる。
刃も土によって削れていくので、こまめに研いでおくことがうつくしく削るには大切だ。
学校には会議などの用事で土地の陶芸家の方がよく来られるのだが、時には生徒の部屋まで遊びに来てくれる。
今日はたまたまそんな日で、わたしの使っているカンナを見て、こりゃあだめだなあと言って、研ぐのを見せてくださった。
その日研ぎ直したばっかりだったのでそれでもだめなカンナを深く反省した。
「どのぐらい研ぐべきですか?」
「手が切れそうなぐらいだよ」
「えっそんなに」
「手が切れるぐらいじゃないと土も切れないだろ」
なんか、なんだか、がびーーんとなった。
そんなに研いでいなかった。
自分の手や目が、至らないことに気付かせてもらえる。
とてもありがたくて、一人になったとき、それがどんなに難しいことだろうと思った。