土は焼かれて陶になる
土はドベやヌタと呼ばれるどろどろねちょねちょの状態、生と呼ばれる粘土の状態、乾燥状態の三段階に区別できる。
三段階は水分量のちがいだ。
焼かないかぎりは、わりと自由に行き来できる。
焼かれて陶器になると、土になるまでにはまた果てしない年月がかかる。
地球はおおむかし、火の海だった。
だから人間が焼き直すことなんてどうってことないのだ、と言い聞かせている。
生のとき、それはとても存在感がある。乾燥していくと、不思議とやさしくなる。少しうすまる。
焼くと、何かが消える。
でも、何かは残り、何かが新しく生まれる。
陶には、その過程が含まれている。